ビジネス書読書感想文 第6回 中川政七商店が18人の学生と挑んだ「志」ある商売のはじめかた 中川淳著
1.この本を読んだきっかけ
来月仕事で起業準備中の方々へ「経営理念の重要性」をテーマにセミナーを行うことになり、情報収集、整理をしている中、この書籍に出会いました。中川政七商店さんは「ブランディング」の成功事例であまりにも有名で、代表である筆者への強い興味もあり、即購入に至りました。
2.この本の要約
「アナザー・ジャパン」という各地域出身の学生に地元の地域産品のセレクトショップをオープンさせ、経営する過程を実況中継的にまとめてあります。前半は、ビジョン=志を起点としてビジネスの設計図の描き方とマーケティング、ブランディングを中心とした競争戦略の生み出し方を、後半は、その実践方法と店が動き出した後のPDCAのまわしかたを中心に書かれています。
学生が実際に議論し、店を運営する生々しい事実をそのままテキスト化されていますので、実際にこのプロジェクトへ参加しているような感覚になり非常に読みやすい本でした。
3.感想と考察
自分の中で「ブランディング」にというものが、今ひとつぼやけており、整理ができていませんでした。中川さんは、「現状分析」「マーケティング」を料理の下ごしらえと例え、「ブランディング」を仕上げと例えております。さらに、セグメンテーション・ターゲティングはビジネス視点、ポジショニングは顧客視点の分析と定義されています。また、経営ビジョンはビジネス視点、マーケティングコンセプトは顧客視点であり、表裏一体の関係なるという整理で説明されています。
マーケティングとブランディングの関係性、ポジショニングの捉え方が実にわかりやすい整理の仕方です。今まで、ビジネス視点と顧客視点を混同していたような・・・これで今までより少しはブランディングの話ができるようになったでしょうか(笑)?
あと、経営ビジョンやマーケティングについて、その決定過程がつぶさに描写されており、妥協しない参加者の熱量や姿勢がビシビシ感じられ、学ぶべきところが多かった。この時の「熱」こそ、その後の実践場面で活きて行くんでしょうね(腹おちしないビジョンは意味がない)。ファシリテーターの中川さんの議論の深め方、方向の持って行き方も天才的に上手すぎです。
この本は、経営理念(=※ビジョン)、マーケティング、ブランディング、PDCAを学ぶには最高の内容です。セミナー時には、講師である自分の力不足を補うため、参考書籍として紹介させていただきます(笑)。
※私の中では同じ意味として理解している。
小島康伸