ビジネス書 読書感想文 第3回 個人事業主と法人を上手に活かした効率経営 ルー大谷著

1.この本を選んだきっかけ

以下2点を考えている中で関連書籍を数冊読んだ中の一冊

・某仕事の関係で法人化についてのセミナーを実施することになったので参考にしたい

・現在、自分の事業を法人形態にするタイミングとやり方の判断材料にしたい

2.本の要約

(1)個人事業主と法人の違い

①決算書作成の難易度 ⇒ 個人事業主有利

②赤字繰越しが可能な期間 ⇒ 法人有利

③経費にできる幅 ⇒ 法人有利

④所得に対する税率 ⇒ 個人事業主やや有利

 ※加入できる保険・年金が違うので同じ土俵での比較ではない。

⑤保険・年金 ⇒ 法人有利。有利の理由↓↓↓↓

 個人  国民健康保険:一定税率(所得が増えると増加)

    ★国民年金:一定額

 法人  健康保険:一定税率

    ★厚生年金:一定税率

 ポイントは、年金制度の違い

 ・個人は所得が増えると健康保険料が増える+将来戻ってくる年金は増えない

 ・法人は所得が増えると   〃     +将来戻ってくる年金は増える

さらに、厚生年金の場合、役員報酬を一番抑えた場合の掛金が国民年金とほぼ変わらないにもかかわらず、もらえる金額は国民年金よりも多い。

 

(2)個人事業主と法人のいいとこどりとは?

 2つの異なる事業を運営している個人事業主が1つの事業を法人成りさせることで、

以下のことがメリットとして発生する。

 ・法人の役員報酬を安く設定することで社会保険料が安くなり、さらに内容(将来受け取れる年金が増える等)が充実する。

 ・消費税の納税事業者にした場合、初期投資の赤字により還付金(税金が戻ってくる)が発生する。タックスフリーでも買い物。

 ・経費計上できる範囲が増える。

 

(3)行為計算の否認に注意

個人事業と法人に事業を分ける場合、所得税法において「行為計算の否認」規定が適用される。

※行為計算の否認=売上を都合よく個人と法人で付け替えることを禁止

3.感想と考察

最近、「マイクロ法人」という言い方で個人事業主と法人のいいとこどりの話を耳にすることがあるが、その考え方の概要はよくわかった。

また、本書には、「個人型確定拠出年金(イデコ=iDeCo)」や「小規模企業共済」「経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済)」等の解説もあり、賢く資産形成するうえで参考になった。

個人事業主と法人を経営するだけではなく、法人を複数経営する、法人経営と出資の組合せ等、経営形態には選択肢がいくつもある。節税面だけではなく、事業シナジー労務管理等の様々な面から検討することが必要で、各分野の知識を深め、適切な判断、アドバイスが出来るようになりたい。